Conveners
セッション6 - 新星・超新星・星周物質
- Nagi Atsuchi
- Hiroyuki Maehara (NAOJ)
近年大規模な突発天体サーベイが行われるようになり、超新星爆発は非常に多様性に富んだ現象であることが明らかになってきている。超新星爆発の多様性の多くは恒星進化の多様性に由来する。中でも連星系進化の多様性が超新星爆発の多様性に大きく寄与していることが明らかになってきている。本講演では、近年明らかになってきた超新星爆発の多様性を紹介し、連星系での進化がどのようにして超新星爆発の多様性を生み出しているのかを紹介する。
2013年に爆発した古典新星 V339 Del は V=4.4等まで明るくなったこともあり、多くの波長で観測され、詳細な光度曲線が得られている。特に、ギガエレクトロンボルトのガンマ線、超軟X線、UBVRI、赤外線などの波長で得られたもののほかに、[O III] および Hα の狭バンド、b および y の中間バンドの光度曲線も詳しく観測されている。これらをすべて、私たちの古典新星爆発モデル&衝撃波モデルで都合よく説明できることを示す。特に、ダストによるといわれる V 光度曲線の 1.5 等の減光と超軟X線が100日程度共存していることの理由を明らかにしたい。これは、ダストはX線によりすぐに破壊されるので、長く共存することはないのではといわれているからである。
近年の超新星の観測により、一部の超新星親星は重力崩壊の瞬間に高密度な星周物質を保持していると信じられている。これは大質量星の、恒星風以外のメカニズムで駆動される質量放出機構の存在を示唆しており、従来は単独星の活動に由来する機構が考案されてきた。一方我々は、大質量星の多くは連星を組んでいることに注目し、連星間の質量輸送に付随する形での質量放出機構を考案した。具体的には、恒星進化計算によりII型超新星を再現する連星の進化を解き、主星から引き剥がされたガスの一部が連星系を脱出すると仮定して星周物質の構造を構築した。その結果、ロッシュローブオーバーフローの開始とともに質量輸送率が増加すること、それに伴い星周物質はシェル状またはクリフ状といった多様な構造を実現することを見出した。このような構造は超新星の発生後からおよそ数年後の観測でトレースできるうえ、過去の超新星観測で確かめられている星周物質...
主に野辺山45m電波望遠鏡を用いて5年間継続してきた「宇宙の噴水」天体に付随するH2O及びSiOメーザー源の監視観測のまとめについて発表する。この様な進化終末期に見られる恒星ジェットは100年以内に進化・退化すると考えられ、実際、それに伴って新たなH2Oメーザー源(高速視線速度成分)の出現や消滅が見られた。ジェットの発達に伴いジェットに引きずられて加速していくガス塊の集団の存在も確認できた。SiOメーザー源を新たに1天体で発見した。今後、できる限りこれらの天体の監視観測を継続するべく、国際的な連携を模索している。