Conveners
セッション1 - 恒星
- Mayu Tominaga (the University of Tokyo, JAXA/ISAS)
- Masahiro Tsujimoto (JAXA ISAS)
多くの恒星は、巨大な磁場の密集地帯である黒点や超高温の外層大気であるコロナを有し、フレアなど太陽に類似した磁気活動性を示す。また、統計的な性質の比較から、これらには共通した磁気流体力学的メカニズムが働いていることが示唆されている。恒星を空間分解してその詳細を理解することは現状の望遠鏡では困難であるが、反対に、太陽を空間分解せずあたかも「星のように」観測することで、恒星を理解する一里塚とすることも可能である。このような観測手法は「Sun-as-a-star」と呼ばれ、近年の太陽恒星比較研究において盛んに用いらている。本講演では最新のSun-as-a-star研究を議論し、恒星磁気活動に対する理解の最前線を紹介する。合わせて、JAXAの推進する次期太陽観測衛星「SOLAR-C」のミッション概要や科学目標を紹介し、太陽恒星比較研究の将来像を展望する。
M型矮星のフレアでは、Hα線の輝線輪郭における赤方偏移および青方偏移の非対称性がしばしば観測される (e.g., Notsu et al. 2023)。これらの非対称性はフレアに伴う噴出現象を示唆している可能性があるが、①高時間分解能での測光分光同時観測例の不足と、②非対称性の統計的解析の欠如により、その起源に関する理解は未だ限定的である。
本研究では、活動的なM型矮星YZ...
突発的な恒星フレアの現場においては、X線放射の主成分となるT ∼10^7−8 Kの衝突電離平衡(CIE)プラズマ
に加え、非平衡プラズマの発生が予想される。しかし、その観測的な存在証拠は乏しい。天球上のどこで発生す
るか予測できない突発的なフレアを捕捉し、詳細解析することが単一の装置でできないことが一因にあげられる。
我々は2017年6月に開始した「MANGA (MAXI and NICER Ground Alert)」プロジェクトでこの困難を克服する
ことに成功した。これは、低感度だが広視野を持つ全天X線監視装置MAXIで検出した突発天体を、
狭視野ながら高統計X線観測ができるNICER装置で即時追観測するシステムである。
本研究では、MANGAの代表的な成功例である、RSCVn型連星おひつじ座UX星(UX Ari)が2020年8月
17...
2022年11月7日に中国の広視野軟X 線撮像望遠鏡LEIAがX線で増光した天体を発見した。この天体の位置はROSATでX線が検出されたK型巨星HD251108 = 2RXS J060415.1+124554と矛盾しないことから、この天体がRS CVn型連星であり、スーパーフレアを起こしてX線で明るくなったと考えられている(ATel #15748など)。この天体の視線速度測定し連星系のパラメーターを決めるために、せいめい望遠鏡に搭載されたGAOES-RVとなゆた望遠鏡に搭載されたMALLSを用いて、可視光高分散分光観測を行った結果を報告する。
ベテルギウスの種々の変光周期の中で最も長い2200日の周期をベテルギウスの基本脈動だとみなすと,その半径はおよそ1300太陽半径であることが推測される.さらに,観測に基づく光度範囲と有効温度範囲と進化モデルを比較すると,ベテルギウスの中心部の状態は,炭素燃焼段階の末期であることが推測される.
AGB星は, 大質量星に比して数が多く、宇宙における核種合成において、炭素や中性子捕獲元素の生成・放出、また、宇宙の化学進化の基盤となる dust に関してはその主要な供給源としての役割を担っている。しかし、AGB 星の進化の実態、とりわけ、進化の最後については、これまでの研究にもかかわらず、未だ、合理的は明らかになっていない。
本研究では、AGB星の最終段階であるミラ型星の脈動と距離推定による絶対光度の決定等の観測的成果を踏まえて、AGB星における最終進化の形態について、解明した。特に、AGB星の進化の最後を飾るとされる質量放出と惑星状星雲の形成機構については、その新たな描像を紹介するとともに、その自己重力熱力学系の進化の特性との関連についても議論する。