Conveners
セッション5 - 縮退星連星
- Miki Kurihara (ISAS, UTokyo)
- Shigeyuki KARINO (Kyushu Sangyo University)
GK Perは、強磁場白色矮星と低質量星からなる近接連星系で、白色矮星の周囲に降着円盤を持つ。1901年に新星爆発を起こしたのち、数年おきに矮新星アウトバーストを起こすようになった天体である。アウトバーストの原因は、水素の部分電離に伴う降着円盤の熱不安定であると考えられている。降着円盤は主に可視光で観測され、円盤内縁からの降着ガスが白色矮星の磁力線に沿って自由落下する際の衝撃波加熱により、白色矮星表面に根付いた高温プラズマである降着柱からX線が放射される。
私達は、この天体の2023年のアウトバースト中、X 線望遠鏡NICERとNuSTAR衛星によるX線観測とTomo-e Gozenによる可視光高速観測を行った。アウトバースト終了間際の広帯域のX線スペクトルからは、白色矮星表面からのおよそ60 eVの黒体放射成分と、降着柱由来の最高温度およそ50...
矮新星アウトバーストの頻度の長期的な変化についてはあまり議論されることがなく、理論的にも質量降着率を一定とみなしてその解釈が進められてきた歴史がある。当研究では長期的な光度曲線の変化からこのような頻度に変動が見られることを示し、分光観測による輝線の変化との関係についても議論する予定である。
降着円盤を形成する激変星の可視連続光は円盤成分が支配的であるが,しばしば回転する降着円盤由来では再現不可な細く強い輝線成分が観測される。
本研究では,円盤風を考慮した矮新星アウトバーストのスペクトル合成計算を実施し,円盤風によるこれらの輝線の説明可能性を調査した。
Be星(γCas 型変光星) は、光度階級がIII-VのB(一部OまたはA) 型星のうち、過去に一度でも水素の輝線がみられた星として定義される。近年のシミュレーションにより、円盤が中心天体からの質量減少に対応して膨張すること、質量減少が止まると、徐々に消滅することなどが報告されている(Carciofi et al. 2013)。しかし、中心星からの円盤放出メカニズムや、円盤への角運動量輸送機構など分かっていないことも多い。講演者は 2018年9月より、勤務校の天文台での低分散分光観測で、水素輝線等価幅に加え、観測の報告が少ないバルマー逓減率 (本研究ではHαとHβ輝線等価幅の比) の分光モニター観測を行っている。その結果、バルマー逓減率に有意な変動を示す Be星(δ Sco、π Aqrなど)...
OB星をドナーとする大質量X線連星系では,ドナーからライン加速過程により噴き出した星風がコンパクト天体に降着し,X線で輝く.
しかし,コンパクト天体からのX線による星風物資の電離は,ライン加速過程を阻害するので,質量降着により星風速度は変化する.
星風速度が大きいと質量降着しにくくなるため,X線による電離は質量降着過程に負のフィードバックを及ぼす可能性がある.
ここではトイモデルを用いた数値計算により,コンパクト天体への降着率および星風物質の電離度が自発的に振動することを示す.
結果として生じる間欠的な質量降着は,短時間のX線変動の原因となり得る.