Speaker
Kei Amada
(鹿児島大学)
Description
AGB 星や赤色超巨星のような長周期変光星の星表面付近で確認されているSiOメーザーの微小スポットは星を中心としてリング状に分布しており、その微小スポットやリングサイズの挙動をモニターすることにより星表面付近の質量放出が調べられている。しかし、星周SiOメーザーの支配的な励起機構が、衝撃波伝播に伴って起こる衝突励起なのか、 それとも星からの赤外線による放射励起なのかという基本的な情報がいまだにわかっていないため、先行研究から、星の赤外線放射が最も強力な変光位相φ=0.1–0.2でのみ放射励起が起こり、それ以外の変光位相では衝突励起が支配的になると予想されており、この切り替わりは異なる遷移のSiOメーザーをVLBIモニター観測することによって捉えることができると期待されている。我々はこの切り替わりを把握するために、長周期変光星BX Camに付随するSiO v=1,2,3 J=1→0, v=1 J=2→1, v=1 J=3→2メーザーに対して、EAVNを使ったモニター観測を約3変光周期分行った。 v=1,2 J=1→0メーザー最初の0.6変光周期分のデータ解析を行ったところ、=0.19で放射励起が起こった証拠が見つかり、それ以外の位相では衝突励起が支配的だと思われるメーザーの挙動が確認された。