Feb 16 – 18, 2024
宇宙科学研究所
Asia/Tokyo timezone

X 線連星 Circinus X-1 の軌道周期を完全にカバーした NICER 観測

Feb 17, 2024, 4:40 PM
25m
1236 (宇宙科学研究所)

1236

宇宙科学研究所

神奈川県相模原市中央区由野台3-1-1

Speaker

Mayu Tominaga (the University of Tokyo, JAXA/ISAS)

Description

Circinus X-1(以下、Cir X-1) は、軌道周期16.6日の楕円軌道を持つ中性子星連星である。この天体は非常に若く、初期の連星進化を理解する鍵となる。しかし、そのX線変動は複雑であり、統一的な解釈には至っていない。我々は、NICERのX線望遠鏡を用いて、軌道全体をカバーする高頻度(~4時間毎)観測をはじめて行った。X線光度の変動の特徴から、stable期、dip期、flaring期に分割し、解析を行なった。X線スペクトルは、部分的に覆われた多温度黒体放射と、光電離プラズマによる放射からなるモデルで説明できた。特に部分吸収体の変動が観測スペクトルに影響を及ぼすと考えられる。Mg、Si、S、Feの高階電離輝線が軌道周期を通じて観測された。特に、Feの輝線はdip期からflaring期への遷移の過程で吸収線に変化した。光電離度は軌道周期を通じて元素ごとに安定しており、光電離プラズマが軌道に安定して存在することが示唆された。我々は解析結果を踏まえ、方位角に依存して局在する物質が視線方向を遮ることによって、多温度黒体放射が部分的に遮られるというモデルを提案した。

Presentation materials