Speaker
Atsuo Okazaki
(北海学園大学)
Description
大質量X線連星の約半数を占めるBe/X線連星は、星周円盤を持つBe星と中性子星の連星系である。Be/X線連星は、時折X線アウトバーストを起こすが、大部分の期間はX線光度の低い静穏状態にある。アウトバースト期と静穏期のX線光度は2桁程度(かそれ以上)異なるが、このような大きなギャップが生じる原因としてプロペラ効果(高速自転する中性子星の磁気圏が降着流を弾き飛ばす効果)が一般的に受け入れられている。しかし、Be/X線連星には自転の遅い中性子星を持つものもあり、それらの系でもプロペラ効果によりアウトバースト期と静穏期のX線光度に大きな違いが生じると考えるのは不合理である。
本講演では、Be/X線連星系においてBe星の恒星風が中性子星への降着流に及ぼす影響を考察する。そして、その結果をパラメータのよく分かっている系に適用し、静穏状態を引き起こす機構がプロペラ効果であるグループと恒星風であるグループが存在することを示す。