Speaker
Katsuki Muraoka
(京都大学)
Description
新星とは、白色矮星と低温星の近接連星系にて、白色矮星表面へ降着したガスの熱核反応の暴走で発生する爆発現象である。可視光では突発的な増光として観測され、その後、徐々に減光する。減光中、一時的に可視光度が一定になる(平坦期)系が存在し、U Sco 1999年爆発から、平坦期は白色矮星に照射された降着円盤に由来するもので、円盤半径は静穏期より大きくL1点まで達する可能性が示唆された。しかし、これを補強する降着円盤の形成過程を追った観測は殆どない。
我々は、U Sco 2022年爆発に関し、VSNET を通じて国際共同可視連続測光観測を行った。平坦期は可視極大期から約14日後に始まり、約24日後に終了した。また、減光中に得られた食のプロファイルから食幅を見積もり、降着円盤半径の時間変化を求めた。平坦期の円盤半径はL1点近くまで達するが、平坦期を終えると急激にtidal truncation 半径まで縮小することが初めて確認された。本講演では、これらの結果から新星爆発による降着円盤の構造変化について議論する。