Speaker
Mai Yamashita
(兵庫県立大学)
Description
前主系列星は年齢とともに自転周期が変化する. 古典的Tタウリ型星は約10 日で, 弱輝線Tタウリ型星は約3 日で自転する. 前主系列星の自転の変化については, 星が重力収縮しスピンアップするという説, 原始惑星系円盤からの質量降着が星をスピンアップさせるという説, 原始惑星系円盤が消失しスピンアップするという説(star-disk interaction)が提唱されてきた. star-disk interactions説によると, 光学的に厚い円盤を持つ古典的Tタウリ型星では, 星の磁場は円盤内縁(公転周期が数日)に接続し, 自転にブレーキをかけると考えられている. 円盤が古くなって消滅すると, 磁場も消滅する. その結果, 弱輝線Tタウリ型星は古典的Tタウリ型星よりも速く自転すると言われている.
本研究では前主系列星188 天体に対して,TESSデータから自転周期を測定した. そのうち56 天体は突発的な増光を示すことが分かった. このような天体はスピンアップ中の前主系列星の45%を占めた. またVLT/UVES, X-Shooterの可視光高分散スペクトルより, スピンアップ中の天体の中には円盤を原因とする連続光成分の超過を持つものがあることが分かった. すなわち, スピンアップ中の天体には原始惑星系円盤を持ち, そこからの質量降着により突発的な増光を示すものがある. これは"star-disk interaction"説と矛盾する. 前主系列星がまだ原始惑星系円盤を持つ間に, 質量降着によって角運動量を得て, 自転が速まると考えられる.